【2026年】ヒューマノイドロボット6製品を比較|価格・性能・導入状況
Unitree G1の価格は13,500ドル。一方、家庭用を掲げる1X NEOは20,000ドルで予約を受け付け、工場で働くFigure 03やDigit、Atlasは価格を公開していない。
一見すると、安い機種と高い機種の比較に見える。だが実態は違う。現在のヒューマノイド市場には、開発者が買う「ロボット本体」、家庭でサービス込みで使う「家事ロボット」、企業が業務ごと導入する「自動化システム」が同居している。価格表だけを横に並べると、かえって選択を誤る。
この記事では2026年9月9日時点の公式情報をもとに、代表的な6製品を、スペック、価格、実際の用途から比較する。価格は税・送料などを含まない場合があり、価格非公開の製品は「要問い合わせ」とした。
結論:用途と「入手できる状態」で選ぶ
- 研究・教育で実機を持つ:Unitree G1 EDU。標準G1と開発可否を混同しない。
- 大型機で全身制御や重量物を研究する:Unitree H2 EDU。連続稼働と安全要件は個別確認が必要だ。
- 家庭で早期利用する:1X NEO。米国での提供条件、遠隔支援、プライバシーまでサービス単位で見る。
- 物流の反復作業を自動化する:Digit。既存AMRやコンベヤーとの接続を含めて検討する。
- 製造・物流で作業範囲を広げる:Figure 03。BMWでの実績と、自社対象物での成功率を照合する。
- 重負荷・厳しい環境で運用する:Atlas。2027年以降の導入枠と業務統合を相談する。
比較した6製品のうち、本体の公開価格が最も低いのはUnitree G1だ。ただし、「本体を注文できる製品」と「作業設計や保守を含めて企業へ導入する製品」は、同じ購入物ではない。
6製品を先に一覧で比較
| 製品・企業(国) | 主用途・能力 | 公開価格 | 2026年の入手・導入方法 |
|---|---|---|---|
| Unitree G1/Unitree(中国) | 研究・開発/約2時間 | 13,500ドルから | 公式ストアで本体販売。開発用途はEDU版 |
| Unitree H2/Unitree(中国) | 研究・産業/腕の定格約7kg | 29,900ドル | 標準機は公式ストア。EDU版は問い合わせ |
| 1X NEO/1X(米国・ノルウェー) | 家庭/4時間・運搬約25kg | 20,000ドル/月499ドル | 米国向けEarly Access |
| Figure 03/Figure AI(米国) | 家庭・産業/5時間・20kg | 要問い合わせ | 法人導入。BMW工場で展開中 |
| Digit/Agility Robotics(米国) | 物流・製造/4時間・約15.9kg | 要問い合わせ(RaaS) | 法人向けRaaS |
| Atlas/Boston Dynamics(米国) | 製造・物流/4時間・継続30kg | 要問い合わせ | 2026年枠は埋まり、追加展開は2027年から |
比較表で最初に見るべきなのは価格差よりも「販売単位」だ。Unitreeは本体価格を明示する。1Xは所有と月額契約を選べる。Digitはクラウド運用基盤を含むRaaS、Figure 03とAtlasは業務導入の相談から始まる。
Unitree G1:13,500ドルで買えるが、標準機は開発用ではない

中国・杭州に本社を置くUnitreeのG1は、ヒューマノイドの価格感を大きく変えた製品だ。高さ132cm、重量約35kg、標準モデルは23自由度で、バッテリー駆動は約2時間。価格は13,500ドルからで、公式オンラインストアから購入できる。
ただし、ここには大事な注意点がある。公式ストアは標準G1について「二次開発をサポートしない」と明記し、カスタマイズにはG1 EDUを案内している。ロボットを動かす研究や独自アプリケーション開発が目的なら、13,500ドルの数字だけで予算を組むべきではない。
向いている用途
- 動作デモ、展示、撮影
- ヒューマノイドを実物で評価したい組織
- EDU版を使った強化学習、模倣学習、モーション制御の研究
Unitree G1 公式仕様 / Unitree公式ストア
Unitree H2:フルサイズと高い腕力を、29,900ドルで提示

中国のUnitreeが開発するH2は、高さ182cm、重量約70kgのフルサイズ機だ。全身31自由度、腕の最大関節トルク120N·m、脚は360N·m。腕1本あたりのペイロードは定格約7kg、ピーク約15kgとされる。標準H2の価格は29,900ドルで、器用なハンドや追加計算機を備えるH2 EDUは要問い合わせだ。
G1より大きく、重く、力も強い。人と同じ設備で重量物を扱う研究、全身制御、工場での実証を意識した構成に見える。一方で、公式ページはバッテリー容量を0.972kWhと示すものの、標準的な稼働時間は掲載していない。導入時はデモ動画よりも、対象作業での連続稼働時間と安全設計を確認したい。
向いている用途
- 全身を使う搬送・組立の研究
- 産業向けエンドエフェクタの評価
- 大型ヒューマノイド向けAIモデルの実機検証
1X NEO:20,000ドルの家庭用。ただし「最初から完全自律」ではない

米国・ノルウェーのAIロボティクス企業で、現在は米国カリフォルニア州パロアルトを拠点とする1XのNEOは、家庭市場に正面から踏み込んだ。Early Accessの所有価格は20,000ドル、月額プランは499ドル。米国で2026年から配送を始めるとしている。
高さ5フィート6インチ(約168cm)、重量66lb(約30kg)、稼働時間4時間。最大55lb(約25kg)を運び、洗濯物を畳む、棚を整理する、片付けるといった家事を想定する。柔らかい外装、腱駆動、22dBの動作音など、工場機とは異なる設計判断も興味深い。
購入検討者が読むべきなのは、派手なスペックより自律性の説明だ。1Xは初期ユーザー向けのNEOには基本的な自律機能が備わり、未知の複雑な作業では予約した「1X Expert」が遠隔で支援すると説明している。これは欠点を隠した説明ではなく、現在の家庭用ヒューマノイドがどこまで製品化されたかを示す重要な情報だ。遠隔支援の運用時間、プライバシー、対象地域まで含めてサービスとして評価する必要がある。
向いている用途
- 家庭内の片付けや定型的な家事
- 音声で頼める移動型アシスタント
- 家庭環境でロボットを早期利用したい米国のユーザー
Figure 03:価格より「現場データ」が強い

米国カリフォルニア州サンノゼに拠点を置くFigure AIのFigure 03は、高さ5フィート8インチ(約173cm)、重量61kg、ペイロード20kg、稼働時間5時間、移動速度1.2m/s。家庭では洗濯、清掃、食器片付けを掲げ、産業では製造と物流を狙う。価格は公表されていない。
Figureの説得力は、スペック表より前世代Figure 02の実績にある。同社によれば、BMWのスパータンバーグ工場で11か月運用し、10時間シフトで稼働。90,000点を超える部品を扱い、30,000台を超えるBMW X3の生産に関わった。作業は板金部品を治具へ置くピック&プレースだった。
2026年にはFigure 03を同工場へ投入し、部品の向きや位置が一定でない「シーケンシング」に対象を広げた。これはヒューマノイドの価値が、二足歩行そのものから、移動しながら両手で物を扱い、ばらつきへ追従する能力へ移っていることを示す。
向いている用途
- 自動車工場の部品供給、治具への配置
- 物流拠点の仕分けや搬送
- 将来的な家庭内作業
Figure 03 公式仕様 / BMWでのFigure 02運用実績 / Figure 03のBMW導入
Agility Robotics Digit:「何でもできる」より、トート搬送を10万回

米国オレゴン州に本社を置くAgility RoboticsのDigitは、倉庫・工場に用途を絞って商用実績を積んでいる。運搬能力は35lb(約15.9kg)、バッテリーは最大4時間。自律充電にも対応し、クラウド基盤Agility Arcから施設マッピング、ワークフロー、稼働状態を管理する。価格は公開されず、RaaSとして企業へ提供される。
GXOの物流施設では、AMRが運んできたトートをDigitが降ろし、コンベヤーへ載せる。Agility Roboticsは2025年11月、この商用導入で移動したトートが100,000個を超えたと発表した。汎用性を語りながらも、最初の価値を反復的な荷役で証明している点が現実的だ。
向いている用途
- トートや容器の積み替え
- AMRとコンベヤーの間に残る人手作業
- レイアウト変更があり、固定設備を置きにくい物流施設
Digit 公式ソリューション / GXOとの商用RaaS導入 / 10万トート達成
Boston Dynamics Atlas:56自由度、IP67、自己バッテリー交換

米国マサチューセッツ州に本社を置くBoston Dynamicsの電動Atlasは、高さ1.9m、重量90kg、56自由度。継続30kg、瞬間50kgの荷重に対応し、稼働時間は4時間。IP67、防塵防水、動作温度−20〜40℃という仕様は、研究デモではなく産業設備として設計されていることを強く感じさせる。同社は韓国Hyundai Motor Groupが株式の80%を保有するが、米国で独立して事業を運営している。
もう一つの特徴は、自分で充電ステーションへ移動し、バッテリーを交換して作業へ戻れることだ。バーコード、RFID、MESやWMSとの連携も想定する。2026年分の配備枠はHyundaiとGoogle DeepMind向けを含めて埋まっており、追加顧客への展開は2027年からとされる。価格は要問い合わせだ。
向いている用途
- 重量部品の搬送や順序組み
- 工作機械への投入・取り出し
- 粉塵や水、温度変化がある産業環境
公開価格がない製品は「未完成」なのか
価格非公開は、必ずしも製品が未完成という意味ではない。Figure、Digit、Atlasが売っているのは、本体だけではなく、作業設計、現場統合、安全対策、保守、継続的な学習を含む導入だ。工場ごとに対象物、動線、サイクルタイムが違えば、価格が案件ごとになるのは自然だ。
反対にUnitree G1の13,500ドルは分かりやすいが、その金額だけで業務が自動化されるわけではない。開発可能なモデル、ハンド、計算機、治具、安全設備、エンジニアリングまで足すと、購入価格と導入総額は別物になる。
私が製品選びで最も重視すべきだと思うのは、ロボットが踊れるかではなく、対象作業について次の数字が出ているかだ。
- 1サイクルに何秒かかるか
- 何回に1回、人の介入が必要か
- 充電・故障・段取り替えを含めて、1シフトに何時間働けるか
FigureのBMW実績やDigitの10万トートは、この問いに答え始めている。一方、家庭用NEOは、自律でできない作業を遠隔支援で埋めるという別の現実解を選んだ。
ヒューマノイドロボットとフィジカルAIの違い
ヒューマノイドロボットは、人に近い胴体、腕、脚などを持つロボットの形を指す。フィジカルAIは、カメラやセンサーで現実を認識し、AIが判断して機械の動作へつなげる技術全体を指す。自動運転車やロボットアームもフィジカルAIに含まれ得るため、両者は同義ではない。
ヒューマノイドが注目されるのは、通路、棚、階段、工具など、人間向けに作られた環境を大きく作り替えずに働ける可能性があるからだ。ただし、人型であることと、現場で仕事を安定して完了できることは分けて評価したい。
よくある質問
個人でもヒューマノイドロボットを購入できる?
Unitree G1やH2の標準機は公式ストアで本体価格が示されている。一方、Figure 03、Digit、Atlasは法人の業務導入が中心で、作業設計やシステム統合を含む相談から始まる。1X NEOのEarly Accessは米国向けだ。
一番安いヒューマノイドロボットはどれ?
この記事で比較した6製品では、Unitree G1の13,500ドルからが最も低い公開価格だ。ただし標準G1は二次開発をサポートせず、研究開発にはEDU版が必要になる。ハンド、計算機、送料、安全設備などを含む総額で比較する必要がある。
価格非公開の製品は、まだ販売されていない?
価格非公開でも、Digitのように商用運用されている製品はある。法人向けでは、ロボット本体よりも作業設計、現場統合、保守を含む案件ごとの価格になるため、公開定価がないケースが多い。
人型であること自体に料金を払う段階から、人間向けに作られた現場をどれだけ変更せず、自律して仕事を完了できるかに料金を払う段階へ、市場は移りつつある。次に比較表へ加えるべき列は、自由度や最高速度ではない。「人の助けなしで完了した仕事量」だ。
画像出典:各メーカー公式サイト。仕様・価格・提供状況は2026年9月9日時点。購入・導入時は各社の最新条件を確認してください。